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「究極の麻婆豆腐」が食べられるのはあと2カ月! スパイス使いが巧みな中国料理店『壱年茶

時刻(time):2017-10-11 04:14源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
1年間限定営業。西荻の隠れ家中国料理店 JR西荻窪駅南口から徒歩約3分。カフェやアンティークショップが立ち並び、いかにも”西荻”らしい風情が漂う商店街に軒を連ねるのが、中国料理店『壱年茶虎(いちねんちゃとら)』だ。 目立った看板はなく、目印は建物の白壁にある“etsu”という文字のみ。こげ茶色の木枠に縁どられた全面ガラス張りの外観は、一見するとビ
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1年間限定営業。西荻の隠れ家中国料理店


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JR西荻窪駅南口から徒歩約3分。カフェやアンティークショップが立ち並び、いかにも”西荻”らしい風情が漂う商店街に軒を連ねるのが、中国料理店『壱年茶虎(いちねんちゃとら)』だ。

目立った看板はなく、目印は建物の白壁にある“etsu”という文字のみ。こげ茶色の木枠に縁どられた全面ガラス張りの外観は、一見するとビストロやカフェのような雰囲気で、よもやここが中国料理のお店だとは誰も思わないだろう。

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そんな不思議な雰囲気を醸し出す同店の店主は倉林哲也さん(写真上)。東京・三鷹の住宅街にある一軒家レストラン『虎茶屋』で腕を振るっていた料理人だ。昼夜1組限定・完全予約制という超クローズドなスタイルながら、口コミで熱い人気を集めていたこの『虎茶屋』は、2016年末をもって一旦休業。「別の環境に身を置いてみたくて」と倉林さんが2017年1月にあらためてオープンしたのが、1年間限定営業の中国料理店、その名も『壱年茶虎』なのだ。

スパイスがほんのり香る、やさしい味わいの“家常菜”

“中国武蔵野地方料理店”と銘打った『壱年茶虎』の料理は、野菜が中心の家常菜(家庭料理)。旬の素材が持つ甘みや苦み、食感などそれぞれの持ち味を活かしながら、スパイスを使ってさらに奥深い魅力を引き出す、滋味でやさしい味わいが特徴だ。

一般的に「中国料理」といえば、油通しした肉や魚に甘酢餡をからめたようなこってり味を連想する人も多いのではないだろうか。しかし倉林さんの料理は、そうしたガッツリ系の中国料理とはアプローチが全く違う。

料理の品書きは「アラカルト」と「お任せコース」の2種類。「湯葉と青菜炒め」や「牛肉とトマト炒め」など、炒め物の種類が多いアラカルトメニューに対し、コースではお酒のアテになるような前菜や和え物、蒸し物などが小皿盛りでちょこちょこと楽しめる。

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こちらの小皿料理は、お任せコースから「前菜3品盛り合わせ」(写真上)。右から「カボチャとおからの炒め物」、「ひたし枝豆」、「魚香茄子」の3品が並ぶ。

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双方のホロホロとした食感がよく似た「カボチャとおからの炒め物」には、シナモンとヒマラヤ産の山椒、そしてレモングラスに似た香りと爽やかな風味が特徴の木姜子(ムージャンヅ)が風味付けに使われている。それらのスパイスが口の中でふわっと香り、噛めば噛むほど香りの奥行きを楽しめる。

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旬の枝豆を使った「ひたし枝豆」は、枝豆の薄皮を向いた後、煮干し昆布だしと紹興酒、台湾産の甘い梅干を合わせた調味液に半日ほど浸したもの。一粒一粒にしっかりとだしが効いており、アルコールとの相性は抜群だ。

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「魚香茄子」は、四川料理でポピュラーに食べられている料理。「魚香(ユイシャン)」とは、唐辛子や生姜などの香辛料とフナなどの川魚を一緒に塩漬けして、香辛料に魚の風味を移した伝統的な調味料のこと。『壱年茶虎』ではイワシの塩漬けを自家製し、予めグリルしておいた茄子にこの塩漬けイワシとトマト、ネギ、生姜、パクチー、赤唐辛子、紹興酒、ガラスープなどを炒め合わせて、パンチのあるうま辛の茄子料理に仕上げている。

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続いて2品目は「秋鮭と舞茸の腐乳蒸し」(写真上)。

腐乳とは、中国やベトナム、ミャンマーなど東南アジアの各域で食べ伝えられている豆腐の発酵食品。その味わいは沖縄の「豆腐よう」に近く、まったりとクリーミーかつ濃厚なコクと塩気がある。

「腐乳ってどんくさいチーズみたいな味なんです」と笑いながら愛ある表現で説明する倉林さんは、その腐乳をペースト状にのばし、味の濃い秋鮭と合わせた蒸し物に。ほかほかの蒸したてから漂う紹興酒と舞茸の芳香も心地よい。西京焼きよりも個性的で、かつホイル蒸しよりもコクのある大人のための蒸し料理に仕上がっている。

さて、この蒸し物に合わせたいおすすめのアルコールが、広島『竹鶴酒造』の「竹鶴 純米 八反」の2014年ものだ。熟成された淡い橙色が美しいこの日本酒は、料理を選ばない食中酒として評価が高い「竹鶴」純米酒のなかでも、とりわけ高い酸の風味が特徴。燗酒にするとさらに芳醇な味わいが際立ち、どこか紹興酒を感じさせる。パンチの強い秋鮭の蒸し物をしっかりと引き立ててくれるだろう。

味の決め手は豊富なスパイス使い

数年前から中国各地を度々訪れている倉林さん。大都会化した観光地よりも、そこから外れた山岳地帯や、農村地方に伝わる素朴な郷土料理に魅せられているのだそう。今年旅したのは中国南西部にある貴州省で、前述のスパイス、木姜子(ムージャンヅ)も貴州省の特産品として知られている。

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こちらは蒸し物に使用したペースト状の「腐乳」。白酒に漬かったブロック状の腐乳を、同店では紹興酒やおろした島らっきょうを混ぜ込むなど独自にアレンジして使用している。

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つづいて右上から時計回りに、鮮烈な香りが特徴のヒマラヤ産山椒、ピリッとした辛みのある赤唐辛子、熟成された独特の風味を持つ黒唐辛子、そして今年貴州省で買い付けてきたという木姜子(ムージャンヅ)。これら多種多様なスパイスと調味料が、同店の料理の味わいを大きく支えているのだ。

香りだけでごはんが食べられそう! 名物の「麻婆豆腐」


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最後に、同店に来たら絶対に食べていただきたい名物料理「麻婆豆腐」をご紹介しよう。この味のトリコになって、『虎茶屋』時代から通い詰める常連客も少なくないという一品だ。

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大きな特徴は、絹ごしに近いなめらかな食感の木綿豆腐を、水切りせずにそのまま炒めていること。一般的な麻婆豆腐はギュッとソースが煮詰まっていて、挽き肉の主張が強くなりがち。でもこちらはツルンと喉越しの良い豆腐がたっぷり入っているため、ソースの濃厚さがほどよく、こってり感は少なめ。女性でも一皿ペロッと食べられる。

顔を近づけると、まず最初にふわっと立ち上がるのは花椒と山椒の鮮烈な香り。この香りを嗅ぐだけでも身体によさそうだ。そして口に含むと、牛挽き肉の上品なうまみと共に、豆板醤や豆鼓醤、甜麺醤などが織りなす複雑なコクと、自家製辣油のピリッとした辛みが感じられる。

スパイシーさはほどよい具合で、辛いのが苦手な人でも気にならない程度。この麻婆豆腐の本当の主役は、幾重にも重なる香りとうまみの”奥行き”なのだ。これはおいしい! この味を求めてやまない常連客が多いのも納得できる一品だ。

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「中国料理と言っても、現地の家庭で日常的に食べられているのは、さりげなくて素朴な料理が多いはず。僕がやりたいのは、地元で無理なく手に入る食材を使って、それぞれが引き立つような必要最低限の味付けを施した料理。本当の意味での”家常菜”なんです」と話す倉林さん。

「いつの日か、”中華を食べに行こう”となったら、そういう繊細な家庭料理がスタンダードになる日がくるといいな思っています」と自身の想いを明かしてくれた。

この『壱年茶虎』の年内の営業は、12月25日前後までを予定。その後は関東近郊に場所を移して店を構える計画もあるという。同店の料理を休日や仕事帰りに気軽に食べられるチャンスはあと2カ月!ぜひ一度訪れてみてほしい。

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壱年茶虎

〒167-0053 東京都杉並区西荻南2-25-10 etsu
0422-77-6769
17:00~23:00
水曜
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この記事の筆者:中村結(ライター)


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