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コース料理が「肉尽くし」! うっとりする極上肉しかださない「肉割烹」の店が銀座に誕生

時刻(time):2018-02-14 05:24源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
銀座6丁目・すずらん通り。『人形町 今半』や『赤坂璃宮』など名だたる一流店が入る商業ビルに2017年11月、『肉割烹ゆうざん』は誕生した。 白木の格子戸を引き、短いアプローチを抜けると、客席側の照明をぐっと抑えた落ち着きの空間が広がる。真新しい桜の一枚板の向こうから、屈託のない笑顔で「いらっしゃいませ」と声を張る、歌舞伎役者のようなはっきりとした
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銀座6丁目・すずらん通り。『人形町 今半』や『赤坂璃宮』など名だたる一流店が入る商業ビルに2017年11月、『肉割烹ゆうざん』は誕生した。

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白木の格子戸を引き、短いアプローチを抜けると、客席側の照明をぐっと抑えた落ち着きの空間が広がる。真新しい桜の一枚板の向こうから、屈託のない笑顔で「いらっしゃいませ」と声を張る、歌舞伎役者のようなはっきりとした顔立ちの料理長、坂本俊介さん。

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その背中で柔らかな光に浮き上がる酒器たち。北大路魯山人(きたおおじろさんじん)や須田菁華(すだせいか)など人間国宝から気鋭の作家まで錚々(そうそう)たる陶芸家の作品が、見る者を楽しませる。

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実家は埼玉・秩父で4代続く老舗の鰻店。中学生のころから店を手伝い、調理師学校卒業後はより専門性の高い職人を目指し、鰻やフグ、あんこう、すっぽん料理店で5年間修業を積んだ。その坂本さんがなぜ、肉の道へ進むことになったのか。「鰻やすっぽんのような専門料理は裏方のことが多く、お客さまと接する機会が少ないものです。自分の中でずっとカウンター越しに接客して調理することに憧れがあったんだと思います」。

特に坂本さんが惹かれたのが、臨場感あふれる鉄板焼きの世界だった。それまでとは全く異なる「肉」の世界への転身。それでも25歳で強い覚悟を胸に鉄板焼き『かいか』の門を叩き、肉の基本を一から叩き込まれると同時に対面接客の技を磨き続け、ついに2017年11月、銀座の一等地に自らの城『肉割烹ゆうざん』を構えた。「銀座はお客さまも一流で教えていただくことも多い。この緊張感を知ったらもう他の土地へ行けません」。

ひと口で胃袋を支配する挨拶代わりの前菜

「肉割烹コース」は全15品で18,000円から。メインの炭火焼は黒毛和牛のサーロインやヒレ、銘柄牛の5種類から選べる。「使う黒毛和牛はA4、A5ランクだけ。肉のコースでは前菜や八寸から肉を使い、季節によってジビエもお出しするので常に10種類以上を扱います」。

前菜に始まり、椀物、八寸、炭火焼とそのどれもが割烹のオーセンティックな姿勢を前提に非日常な高揚感を秘め、食べ手の食的好奇心を刺激するものばかり。

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まずこの日の「前菜」(写真上)。レアで味わえるほどの黒毛和牛のサーロインのつくねに2種類の味噌を添えたものだが、ミニトマトほどの、うっすらと桜色を残した小さなボディから繰り出される先制の一撃がすごい。たったひと口で堰を切ったように鮮烈なうまみがあふれ出し、余韻さえ濃く長く続く。肉のほとばしるような息吹がストレートに舌に届く一品である。

主役たる肉の良さはもちろん、奥底の甘さを引き出されたタケノコも、果ては木の芽の風味を下支えする西京味噌や下仁田ネギのとろける甘さを受け止める麦味噌までも食べ手の期待を飛び越えてくる。素材の持ち味を際立たせる。そんな坂本さんの信条が込められた挨拶代わりの一皿だ。

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割烹の要でもある「お椀」(写真上)。この日はすっぽんの滋味深いだしに蕨やこごみなど山菜を合わせている。一足早い春の訪れに心が躍る。

すっぽんだしに潜らせた色気たっぷりのサーロイン

「本当に一瞬です」と話す坂本さんの手元に目をやる。ふつふつと沸くすっぽんだしの横で、淡雪のごとき見事な霜降りサーロインが、出番を今か今かと待ち構えている。

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▲鍋は信楽焼の重鎮・中川一辺陶に特注

お客の目の前で披露する「しゃぶしゃぶ」(写真上)だ。これがまさに刹那の美。薄切りの1枚を黄金色のだしにくぐらせ、瞬時に引き上げる。美しい所作に見とれる間もなく極上のローズピンク色に染まったそれが顔をのぞかせ、秋田で水耕栽培されたセリとともに器へ収まる。

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一連の流れから目の前に供されるまで、ぴたりと計算された感が心地いい。口にすると絹のようなしっとりとした色気と、一瞬、歯を入れるのをためらうような、あたかも自分の舌と一体化した感覚さえある。強すぎず弱すぎず、すっぽんのわきまえた存在感もいい。

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ちなみにしゃぶしゃぶ後は、肉のうまみが加わったすっぽんのだしが、のし餅やよもぎ麩、すっぽんの身と共に小鍋で供される。最後の一滴に向かってうまみが膨らむ贅沢な味わいだ。

高精度の火入れで真価を引き出す

ここに至るまで一瞬たりとも飽きさせることなく、さて、待望の炭火焼。焼いては寝かせ、遠赤外線で脂を落としつつ手塩にかけて30分火入れした「黒毛和牛のヒレ」の、中心にかけてロゼ色が濃くなる芸術的な色合いたるや。「お恥ずかしい話、ナルシシストと思われるかもしれませんが、焼き台の前にいるとうっとりします。肉を焼くときが一番気持ちが高まって、自分でも『うわ、おいしそうだなぁ』と思いながら焼いています」と坂本さん。

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▲店の命である焼き台もしゃぶしゃぶ用鍋と同じく中川氏の作品。上下二段で火入れを調整できる特殊な造り。

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▲「黒毛和牛のヒレ」(写真上)。器は唐津焼の名匠・丸田宗彦作。静謐な佇まいで素材を引き立てる。

一片を口にした瞬間、落とされた。焼き目が歯にほんの少し抗ってみせたかと思えば、すぐさま内から瑞々しいうまみが顔をのぞかせ、ほの甘い後味に舌が虜になる。ただしわざとらしさは皆無。目を閉じ、ゆっくり咀嚼して感じられる次元での愛ある揺さぶりである。

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塩からトリュフオイルまで〝調味料マニア“の坂本さん。添える調味料もさまざまで右上からリンゴとタマネギのソース、自家製デミグラス、熊本の丸大豆醤油、生黒胡椒、鉢ヶ崎の塩。肉の傍にはワサビと山ワサビが乗る。

坂本さんの料理人としての美学を身をもって知った今、その口から発せられた「ナルシシスト」という茶目っ気の裏に隠された静かな情熱にまた、心を打たれずにいられない。

撮影:平瀬夏彦

【メニュー】
・肉割烹コース 18,000円~
・昼のコース 6,500円~
・昼の御膳 3,800円~
※価格は、昼は税別・サ―ビス料込、夜は税別・サービス料別

肉割烹ゆうざん

〒104-0061 東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル4F
050-3373-9730
昼11:30~15:00(L.O.14:00)、夜17:00~23:00(L.O.22:00)
月曜
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http://nikuyuzan.com/
https://r.gnavi.co.jp/p2zgc37j0000/

この記事の筆者:井上こん(ライター)


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