
コロナ禍で家で過ごす時間が多くなり、運動不足解消のために筋トレを始めた人も多いだろう。ただ、ネット上では「筋トレをやりすぎると免疫力が落ちる」という声があがっている。
では、筋トレはどれくらいの頻度でこなすのがいいのだろうか。医師に聞いてみると...。
筋トレの健康効果
鍛え上げられた見事な肉体と「筋肉は裏切らない」の名言でおなじみの俳優・武田真治は2021年1月に新型コロナウイルスに感染。その後、仕事復帰するも数日後に今度はインフルエンザに感染したことが発表された。
当時、ネット上では武田を心配する声と同時に「鍛え過ぎると免疫力が落ちてしまうのでは...」という声も囁かれた。とはいえ、筋トレそのものが身体に悪影響なわけではない。

東京ブランシェクリニック医師で、美容外科・美容皮膚科で12年勤めた経験がある鈴木三奈さんが筋トレのメリットを解説する。「運動することで基礎代謝が上がるため、太りにくくなりダイエット効果が期待できます。筋力が上がることで姿勢がよくなり、血行がよくなることで冷え性やむくみの改善につながります」(鈴木さん)。
気になる噂を聞くと...
では、筋トレによって免疫機能が落ちてしまう可能性はあるのだろうか。前出の鈴木さんによると、適度な運動であれば抗体が増えて免疫機能は上がるという。
「マラソンのように持久力を伴うスポーツだと、トレーニングの時間が長くなるほど免疫機能が落ちて感染症にかかりやすくなります。また、筋肉をかなり鍛えている方は一度筋肉が壊されて新しく作られる流れが繰り返されているので、身体にはあまり良くないかもしれません」(前出・鈴木さん)。
しかし、それはあくまでも過度に体を絞ったり、高負荷なトレーニングを長時間する人に限られるという。週に2~3回ジムで体を動かす分には問題ないそうだ。
理想的な筋トレ頻度
ネットで「筋トレ 頻度」と検索すると、「週5日やらないと意味がない」という意見と「週に2~3回にして適度に筋肉を休ませた方がいい」という意見に分かれている。理想的な筋トレの頻度はどれくらいが望ましいのだろうか。
「毎日筋トレするよりも1~2日筋肉を休ませて回復させたほうがいいでしょう。トレーニングの時間は1時間程度が適切です。アスリートのように専門的知識がある方以外だと、筋肉が回復するのに時間がかかってしまうんです」(前出・鈴木さん)。
つまり、月曜日にトレーニングをしたら次は水曜日か木曜日というふうに、少し間隔を空けてやったほうがいいということだ。
家でできるトレーニングも
身体を鍛えようと思っても、ジムに行くのはちょっと...という人もいるはず。そこで、家でもお手軽にできるトレーニングも聞いてみた。
「レジスタンス運動という筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行うのが効果的です。具体的には、スクワットや腕立て伏せ。年配の方で腕立てがきつければひじをつけて行ってもいいですし、スクワットも椅子を使って立ったり座ったりするのを繰り返すだけでも構いません。それらを1日10~15回を3セットくらい行うのが理想的だと思います」 (前出・鈴木さん)。
くしくも、「スポーツの秋」で身体を動かすには最適な季節。無理のない範囲でトレーニングを始めてみてもいいかもしれない。
(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人 取材協力/東京ブランシェクリニック・鈴木三奈さん)