「ある意味、あんなに面白い人とはもう二度と出会えないかもしれません……」
笑いながら話し出したのは、接客業の美月さん(28歳)。
売れないピン芸人の彼氏
「私、今はそこそこ売れているピン芸人の孝也(仮名)が、まるで売れていない時代にバイト先で知り合い、付き合っていたんです。私はお笑いのことはあまり詳しくないのですが、それでも孝也のライブには足を運びました。そのうち同棲することになって、基本的に私が孝也の生活を支えていましたね」
孝也さんが絶対に将来的に売れると信じていた美月さんは、その生活に対して不満はなかったのだとか。
「自分で言うのもなんですけど、昔も今も、私はそこそこ稼ぎがいいので。それに、孝也は料理が得意で、家事はやってくれていたんですよ。だから、円満な同棲生活だったと思います」
ところが、二人の関係にひびが入るような出来事が起きるようになります。
浮気? それとも行き過ぎたファンサービス?
「私は孝也と同棲しているわけですから、出待ち(ライブが終わったあとに演者を待つこと)はめったにしなかったんです。でもたまに、ライブが終わったあとに一緒に帰ることもあって、そのときはライブハウスの外で待っていたんです。そんなときに、ふと孝也と出待ちのファンのやり取りを聞いていたら、孝也がとんでもないことを言っていたんですよ。『遊びに行きましょうよ~』とか、『飲みに連れていってください!』とか。孝也は不思議で人懐っこいキャラが売りなので、行き過ぎたファンサービスなのかな、と思っていたんですが……」
実際に、孝也さんはファンと遊ぶようになったのだそうです。
私もファンの一人でしかないの?

「『今日は飲みにいってくる』とか、突然言い出すようになって。それがあまりにも頻繁に続くので、『誰とそんなに飲みにいってるの?』って聞くと、『と、友達とだよ』とか慌てて言われたんですが、よく聞いてみたら、実はいろいろなファンと飲みにいっていたことがわかりました。
ファンとはちゃんと線を引いてほしい、私も結局はファン扱いなのか、と思わず私が泣いてしまったんですね。そうしたら、『ううん、美月ちゃんは、ファンじゃないよ。僕にとって、特別な人だよ』とは孝也に言われたんですが……。どうしても孝也を信頼できなくなってしまいましたね」
気まずい雰囲気になってしまった二人。美月さんが、いっそのこと同棲を解消しようと考えていると、決定的な出来事が起きてしまいます。
ついに浮気現場を目撃してしまう
「近所に買い物に行ったら、孝也が、ライブでもよく見かけるファンの子と、腕を組んで、とても親しそうに歩いていたんです。その場で問い詰めたかったのですが、ファンのほうも私を知っているかもしれないし、さすがに道端では……となって、帰宅して孝也を待ったんです。孝也はごく普通に帰ってきて、それにまた腹が立ちましたね。すぐさま『ファンの子と、ずいぶん仲がいいみたいだね』と嫌味を言いました」
すると、孝也さんは衝撃の一言を発しました。
浮気の言い訳に衝撃

「『僕、実はドッペルゲンガーがいるみたいなんだ……』と。『美月ちゃんには話そうかどうか迷ってたんだけど、やっぱり聞いてほしい。ドッペルゲンガーは僕にそっくりで、それなのに僕と違って遊び人なんだ。そいつが、僕のファンに手を出してるみたい』とか言い出したんです。それも、ものすごい深刻な表情で、ですよ。そこまで言われると、もう笑うしかなかったですね(笑)」
美月さんが笑っていると、孝也さんは逆ギレしてきたのだとか。
謎の逆ギレに冷める
「『ドッペルゲンガーを本人が見たら死ぬって言われてるでしょ!? 美月ちゃんは僕のことが心配じゃないの!?』っていう、とんでもない方向からの逆切れでした。なんだかもうどうでもよくなってしまって、『とりあえず、近日中に出てってくれる?』とめちゃくちゃ冷静に対応しました」
意外にも、孝也さんはすぐに出ていったのだとか。
売れても「ドッペルゲンガー」以上に面白いネタはない
「きっと、ファンの家を泊まり歩くようになったんでしょうね。私は当然、もう孝也のライブには行かなくなったので、孝也がどうしているのか、全然知らなかったのですが……。ここ最近、孝也をテレビで頻繁に見かけるようになって、びっくりしました。孝也は相変わらず、不思議キャラでしたね」
孝也さんが売れてくれてよかったとは思うものの、ドッペルゲンガー以上の面白いネタは見られそうにもない……とまたも笑いながら美月さんは話を終えました。
浮気の言い訳にドッペルゲンガーを出してくるのは、さすが芸人さんといったところでしょうか……。
―シリーズ「私が関わった有名人」―
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<文/ビューティーガール編集部>
(エディタ(Editor):dutyadmin)