Q. 人の顔や名前を覚えるのが苦手です。覚える方法はありませんか?
人の顔や名前を覚えるのが得意な人がいる一方、なかなか記憶できずに苦労している人も多いようです。日々多くの人に会う営業職などはもちろん、新しい環境での新生活をスタートした人にとっても、人の顔や名前を覚えるコツは関心の深いテーマなのではないでしょうか? 脳科学的に効果がある、人の顔や名前の覚え方をご紹介します。
Q. 「人の顔や名前を覚えるのが苦手です。記憶力が悪いのかもしれませんが、新生活でも苦労しています。間違えずに記憶するコツはないでしょうか?」
A. 丸暗記しようとせず、多くの情報や感情と紐づけて覚えるのがコツ
記憶にはいろいろな種類があり、その仕組みも違います。自分が体験した出来事の記憶は、日時や場所などの付随情報やその体験によって何を感じたかといった感情も含めて記憶されるので、あまり意識しなくても頭に残りやすいですし、かつ思い出しやすいという特徴があります。
どんなに記憶力に自信がない人でも、ご家族や親しい友人の顔や名前はちゃんと覚えられますね。これは、色々な思い出と結びついているからです。
一方、自分とは直接関係がなく、丸暗記しただけの記憶は、頭に残りにくいです。「とりあえず覚えよう」と思っても、時間・場所・感情を伴わないので、しっかり意識しなければなかなか記憶できず、肝心なときにすぐ思い出せないことが多いです。
初対面の人の顔と名前をしっかり覚えたければ、丸暗記しようとせず、その人のことをよく知り、できるだけ多くの情報を紐づけしながら、印象深く頭に残すようにしてみるとよいでしょう。「親しくなりたいな」といった気持ちを持つだけでも記憶への残り方は変わりますから、ぜひトライしてみてください。
薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
執筆者:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者)