生きていれば「今日は疲れた……。何も作りたくない……」という「限界メシ」が必要な日もあります。逆にここぞというときのお祝いの場などでは「これを食べないと始まらない」という「ハレの日のごちそう」が必要な日もあるでしょう。
国が変われば食事情も変わります。今回はインドネシアの「限界メシ」と「ハレの日のごちそう」事情を現地在住の筆者がお伝えします。
インドネシアの限界メシは?
インドネシアは屋台文化が根付いています。自炊をしないわけではありませんが、日本と比べて「外食(ここでは屋台メシ)」に頼る頻度が圧倒的に高いです。そしてそれは都市化が進んだジャカルタでも変わりません。
日本で「限界メシ」と言えば「ずぼら料理」のようなイメージとなるでしょう。例えば「猫まんま」などでしょうか? インドネシアの場合はさくっと食べられるご飯を屋台やデリバリーで調達するという選択肢になります。
屋台で頼むので、何を選んでも“さくっと”食べることができます。ただそれではおもしろくありません。屋台メシの中で「限界メシ感(ずぼら感)」が出ているものをあえて選ぶとしたらこれしかないでしょう。
そう、インドミーです。

インドミーは、世界ラーメン協会(WINA)が発表した「インスタントラーメンの世界総需要TOP15」(2020年)で2位に輝くインドネシアで最も売れているインスタント麺です。
インドネシア人はインドミーをよく食べます。どれくらい食べるかというと、街中にインドミー屋があふれるほど食べます。インドミーをストックし、調理して出してくれるお店があるのです。

インドミー屋ではインドミーを「ちょっといい感じ」にして出してくれます。ゆでたインドミーに野菜や卵を乗せるだけだったりしますが、人に作ってもらったインドミーはおいしさが倍増する気がするので不思議なものです。

余談ですがインドミー屋では仕入れ値(約30円・2023年9月11日のレート)の2~3倍程度の価格で調理したインドミーを販売します。それでも「ラク」で「おいしい」ということで一定の需要があります。

インドネシアのハレの日に食べるごちそう
インドネシアではハレの日に何を食べるのでしょうか? 多様な民族が同居するインドネシアなので地域によって異なりますが、首都ジャカルタがあるジャワ島で言えば「ナシトゥンペン(Nasi Tumpeng)」が代表選手と言えるでしょう。

何かの記念日やお祝い事、節目の日などには必ずと言っていいほどナシトゥンペンが出ます。
ナシトゥンペンでまず目につくのは中央に高く盛られたご飯です。多くの場合はナシクニン(Nasi Kuning)というウコンとココナッツミルクで炊いた黄色いご飯を盛ります。そして周りにはインドネシアの一般的なおかずがぎっしり! テーブル中央に置かれたナシトゥンペンを、各々が取り皿によそい、喜びを分かち合います。
蛇足ですが筆者も自身の引っ越し祝いにナシトゥンペンを頼んだことがあります。テーブルに置かれると「おおぉ……」とハレの日を演出してくれる効果がありますよ。
日本のPR業界にて約10年間コンサルタントとして従事。2014年に株式会社JAPASIANを創業しインドネシアへ移住。現在はジャカルタにて、日系企業向けの進出前現地調査やコンテンツ提供、日本の自治体や観光業者への訪日プロモーション支援などを行う。
執筆者:椿 光一(ジャカルタガイド)