Q. 睡眠不足になると、なぜ肌荒れするのでしょうか?
睡眠不足は心身の不調を招きますが、長期的な健康への影響はもちろん、肌の調子などが気になる方もいるようです。なぜ睡眠が足りないと、肌にまで影響が及ぶのか、わかりやすく解説します。
Q. 「寝不足だと肌の調子が悪くなります。ニキビやくすみが目立ったり、肌荒れしたりするのはなぜでしょうか? 眠らないことと肌の状態には、どのような関係があるのですか?」
A. 健康な肌は、免疫システムのはたらきによって守られているからです
睡眠不足だと肌荒れがひどくなるのは本当です。ごく簡単に説明すると「睡眠不足により、免疫力が低下するから」です。
一般的に言われている「免疫力の低下」というものは、免疫機能をになう白血球がエネルギー不足になってしまうことで、十分なはたらきができなくなった状態を指します。寝不足の状態では、体内のエネルギーがしっかり回復できず、白血球のはたらきも悪くなってしまいます。
肌は常に外部環境に晒されているため、トラブルが起きやすい部分です。さまざまなダメージを回避したり修復したりするために、肌と免疫システムには深い関係があります。
睡眠をとらないと、この免疫システムがうまくはたらかず、肌荒れなどのトラブルが起きやすくなるのはそのためです。しっかり休んで免疫システムがしっかりはたらくようにしてあげれば、改善が見込めます。
また、睡眠中は、代謝をコントロールする「成長ホルモン」の分泌が高まり、健康な皮膚を作ったり、傷の治りを促してくれます。「成長ホルモン」と言うと、子どもが成長するのに必要なものというイメージが強いかもしれませんが、大人においても体全体の代謝を調節する重要な役割を担っているのです。
高額な化粧品などを使うよりも、まずはしっかり睡眠をとることが、お肌の健康には大切です。
薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
執筆者:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者)