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36歳になった“ゆとり第1世代”は今。上からも下からも圧をかけられるツラさ|映画『ゆと

時刻(time):2023-11-19 15:42源泉(Origin):δ֪ 著者(author):kangli
一般的に、1987年から2004年生まれの世代が、「ゆとり世代」と区分される。昭和的な詰込み型からゆとり型の教育にシフトした世代としてよくイメージされる。 © 2023「ゆとりですがなにか」製作委員会 でもゆとり世代にだって葛藤はあるはず。ゆとり第1世代の3人を主人公とするドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ、2016年)の劇場版『ゆとりですがなにか インター

 一般的に、1987年から2004年生まれの世代が、「ゆとり世代」と区分される。昭和的な詰込み型からゆとり型の教育にシフトした世代としてよくイメージされる。

「ゆとりですがなにか」

© 2023「ゆとりですがなにか」製作委員会

 でもゆとり世代にだって葛藤はあるはず。ゆとり第1世代の3人を主人公とするドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ、2016年)の劇場版『ゆとりですがなにか インターナショナル』(上映中)では、令和ならではの苦労話が描かれる。

「イケメンと映画」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥扮する三者三様の“ゆとり三銃士”を解説する。






ゆとり世代に対する厳しい眼差し


「これだからゆとりは!」

 オフィス内で、世代が上の上司からゆとり世代の部下に対して、こういう怒号が飛んでいた時代が懐かしい。懐かしいといっても、つい10年前までは当たり前のように発せられていた。

 2023年現在なら、世代間パワハラによってそんな上司は一発退場もの。さらに下の世代として、Z世代やα世代が位置付けられた。ゆとり世代に対する厳しい眼差しは、もはや過去の習わしだったようにさえ思う。

 1987年生まれ。ゆとり第1世代を代表するようなキャラクターたちが登場する『ゆとりですがなにか』の放送は、2016年。

 第1話冒頭で、29歳の会社員・坂間正和(岡田将生)が、レンタルおじさん麻生巌(吉田鋼太郎)を相手に、自分がゆとり世代であることを痛感する場面が描かれる。






マイペースでちょいダサい



 正和は、上司からのパワハラ的発言に対して、「年より若く見えるっていう意味かな」くらいに思っていたらしい。

 変に前向きなのは、あまり怒られ慣れていない(とされる)ゆとり教育の結果なのか、どうか。ともあれ、こういうマイペースなキャラクターを演じる岡田将生は、抜群にいい。

 例えば、最近の主演映画『1秒先の彼』(2023年)では、仕事は誰よりも早いが、考え方がかなり世間からズレている郵便局員ハジメを演じた。岡田が演じるからにはもちろんイケメンではあるが、ハジメはとにかくダサい。

 このギャップが近年の岡田を特徴づけている。マイペースキャラでちょいダサい。『ゆとりですがなにか』の正和も見た目はカッコいいが、どこか頼りなく、残念な感じ。正和は、鉄板的なキャラクターだ。













イケてない“ゆとり三銃士”イケメン


2017年放送「ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編」DVD(バップ)

2017年放送スペシャルドラマ「ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編」DVD(バップ)

 さらに突き抜けて残念さがだだ漏れているのが、松坂桃李扮する山路一豊。小学校教師の彼は、生徒や教頭、保護者との板挟みになり、押さえつけられた感情をレンタルおじさんの前で爆発させる。

 ゆとり世代の教師もなかなか気苦労が多いものなのだなと共感したくもなる一方で、顔をくしゃくしゃにしながら人目をはばからずに感情的になる山路を見ると、ちょっと引いてしまう。

 あるいは柳楽優弥。どうしようもない客引き男・道上まりぶを演じる。実は彼、11浪中である他、正和と山路が話を聞いてもらった巌の息子。そして彼もまたゆとり第1世代の29歳なのだ。

 根は優しそうだが、ときにふわっと凶暴な顔を見せる無鉄砲キャラが柳楽にピッタリ。三者三様、それぞれにイケてない。イケてない“ゆとり三銃士”イケメンとでも命名しておこう。






バージョンアップを迫られる第1世代


 上からも下からもプレッシャーをかけられるのが、ゆとり第1世代のツラいところ。ぎりぎり昭和生まれながら、青春は平成に育つ。両時代を知るからこそ、良くも悪くも奥深い人間味がにじむ。

 では、ドラマ放送から7年後を描く劇場版『ゆとりですがなにか インターナショナル』では、どうなっただろうか。それぞれに年を重ね、現在36歳。アラフォーに突入した三銃士たち。唯一結婚した正和は、宮下茜(安藤サクラ)との結婚生活7年だ。

 時代は変わった。コロナ禍を経て、リモートワークが当たり前。正和をパワハラで訴えた山岸ひろむ(仲野太賀)も今度は逆にZ世代の後輩社員たちに厳しい指導をする立場になった。

 女性へのセクハラがMeToo運動によって暴かれ、LGBTQへの理解は山路の小学校教育にも浸透している。若い世代からおっさん呼ばわりされるゆとり三銃士たちは、令和に合わせたバージョンアップを迫られる。













変わりゆく変わらないもの



 作品サブタイトルに「インターナショナル」とある通り、彼らの周囲では国際化が加速する。

 正和が勤めていたみんみんコーポレーションが韓国企業に買収され、本国から派遣されてきた鉄人のような上司チェ・シネ(木南晴夏)が抑圧的な改革を断行する。今は会社を辞め、家業の酒造で営業部長になった正和は、契約打ち切りに直面する。

「これだからゆとりは」というあのフレーズは、チェによる韓国語に替わる。意味もわからずに正和は土下座をする。昭和精神丸出しの土下座が、この令和に意外と効果的なのは興味深い。時代が変わっても、ゆとり世代の精神までは変わらないということだろうか。

 本作は、坂間夫婦の不倫騒動からクライマックスになだれ込む。騒動の末、に絞り粕のように抽出されるゆとり精神が、150年切り盛りされてきた坂間酒造の歴史を継承する。

 時代の変化に合わせてバージョンアップしながらも、ゆとり三銃士たちは変わりゆく変わらないものとして歳を重ねるのだろう。

<文/加賀谷健>
加賀谷健
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu




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